プロテイン(タンパク質)

プロテイン

タンパク質は炭水化物、脂質と並んで3大栄養素の1つ、とっても大切な栄養素であることはよくご存じだと思います。筋肉、皮膚、臓器、骨などの組織はもちろん、血液、神経伝達物質、ホルモン、酵素、免疫抗体なども全てタンパク質でできています。 日本人は、なべて炭水化物と脂質は摂りすぎ、しかしタンパク質は不足気味なんです…最近(21世紀に入ってから)特に摂取量が激減しています?!(図1) また、男女とも、ほぼすべての年齢層で目標値を下回っています(図2)。

つまり、日本人はもっとタンパク質を摂ったほうがいいんです!

目標値はおよそ、男性は80g以上、女性は60g以上とされていますが、でも…これがわりと難しいんですよ、みなさん一度、自身の食事で、タンパク質の摂取量を計算してみてください。意外にタンパク質って摂れないんですよ。

なぜかみなさん、炭水化物と脂質に偏って食べているんですね…現代食の傾向かもしれませんが…少し誤解もあるようです。

確かにタンパク質を極端に大量摂取すると腎臓に負担がかかります。
しかし、健康な人であれば(腎臓の機能が低下していなければ)、1.5 g/kg 体重/日以内あるいは100 g/日以内であれば問題はありません
Eur J Nutr. 2023;62(5):1957-1975.

ただし、すでに腎臓の機能が低下している人に関しては(慢性腎臓病など)、体重g×1.2くらいまでにしておいたほうがいいと思います(体重が50kgなら50g×1.2≒60gくらいまで)。…腎臓を悪くしてしまうとタンパク質がたくさん摂れないので、サルコペニア、フレイルにもなりやすくなります。

 それなりの年になると、あまりタンパク質を摂らないほうがいい?と変に誤解している人も少なくありません。でも全く逆なんです。年を経るごとに筋肉が減っていくので、むしろ、若い時よりもより多めにタンパク質を摂り(もちろん運動もして)、サルコペニア、フレイルを予防する必要があります。でないと寝たきり、認知症へまっしぐらです。
 具体的には、体重が50kgなら、少なくとも50g×1.2≒60g/日以上は摂る必要があります。繰り返しますが1日に体重g×1.2は最低限です。理想はもっと多く摂るほうがいいんです。

 ただ、食事だけでタンパク質を必要量(目標量)確保するのは至難のわざです。たとえば、肉で60gのタンパク質を確保しようとすると…、肉は、おおまかに60%が水分、20%が脂質(脂肪)、20%がタンパク質なので、1日に肉を300gは食べる必要があります。ただ、もし300gの肉を食べてタンパク質の目標量をクリアしても、動物性脂肪(脂質)も60g一緒に摂ってしまいますので、それが果たして体にいいのかどうか? はなはだ疑問ですよね?

 厚労省の見解も…「少なくとも高齢者においては、タンパク質を多めに摂取する方が(1.2 g/kg体重/日以上)、フレイル及びサルコペニア発症を予防できる可能性があると考えられる」…としています。
 当然のことですがタンパク質が不足すると、筋肉ができないだけでなく、骨密度も低下し、貧血になり、免疫力も低下してしまいます。
 実際、60歳を超えると体重が少ない人(筋肉量が少ない人)の方が健康度は低下し、健康寿命も短くなります。60歳以上になれば、ダイエットは忘れて、ソイプロテインで栄養保険をかけて、筋トレして、体重を増やすほうが賢明だということになりますね。
Am J Clin Nutr. 2021;114(2):649 660.
Am J Clin Nutr. 2008;87(1):150-155.

 じゃあ、どんなプロテインサプリを摂ればいいのか? 結論から言いますと、健康寿命を延ばすには、食事のほかに、プロテインサプリ(ソイプロテイン)を摂っておく必要があります(栄養保険をかけておく)。
 もちろんプロテインサプリには動物性のタンパク質(ホエイとかカゼイン)を原料にしたものも多いのですが、なぜソイプロテインなのか?
 それは、動物性のタンパク質が(吸収が早いというメリットはあるのですが)、体内でのインスリンやIGF-1の分泌を促し、がん促進のリスクを高める…とのデータが複数報告されていることが問題なのです。最近でも(下記論文)、「総タンパク質の摂取量では、1日およそ80~90gが最もがんの死亡リスクが低く、少なすぎても多すぎてもリスクが高くなる。また、動物性タンパク質は、摂りすぎるとがんの死亡リスクが高くなり、植物性タンパク質は多く摂る方ががん死亡リスクが低くなる」と報告しています。
J Hum Nutr Diet. 2022 Oct;35(5):845-860.

動物性タンパク質を摂りすぎるとがんを促進することは以前から指摘されていましたが、その大きな理由の1つが、動物性タンパク質のアミノ酸組成です。特に牛乳に多く含まれるホエイやカゼインは、ロイシン、イソロイシン、バリンなどの分岐鎖アミノ酸(BCAA)が比較的多く含まれていて、インスリンやインスリン様成長因子の産生を刺激し、がん促進のリスクを高めるとされています。ちなみに牛乳に含まれるタンパク質の多くはホエイプロテイン(約20%)とカゼイン(約80%)です。

プロテインのまとめ

WHAT
  • ソイプロテイン
WHY
  • 現代人はすべての年齢層でプロテインが不足している(年齢とともに深刻)
  • ソイプロテインを補えば健康寿命の延伸が期待できる
  • ソイプロテインは長期摂取しても安全である
HOW
  • 1日10-20gを目安に摂り続ける 

ということになると思います。

このレクチャーを機会にみなさんの理解が深まったなら、嬉しいです。みなさんの周りの人にも教えてあげてください。ぜひ健康度を高め、病気を予防し、老化を抑えていきましょう

岡本医師
岡本医師

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ちなみに2/28(金)20時に、また質問会を開催します。