マルチビタミン・ミネラル

マルチビタミン・ミネラル

意外に選択が難しいマルチビタミン・ミネラル

今回のレクチャーのテーマは、サプリの「基本のき」、そう、マルチビタミン(あるいはマルチビタミン・ミネラル)です。

たかが…、されど…、マルチビタミン・ミネラルは、ネットでもコンビニでも、星の数ほど製品がありますが、まさしく玉石混交、中には、摂ると健康を損ねてしまうものまであって…、ホントに選ぶのに迷います!との声が~。

たかが…、されど…、マルチビタミン・ミネラルは、ネットでもコンビニでも、星の数ほど製品がありますが、まさしく玉石混交、中には、摂ると健康を損ねてしまうものまであって…、ホントに選ぶのに迷います!との声が~。

されど、世界中で最も売れている、このマルチビタミン・ミネラルは、サプリ先進国と云われている米国では7-8割の人が摂取しているとのデータもあります(子ども向けのマルチビタミン配合グミもあるくらいです)。
せっかく長きにわたって摂るならいいマルチビタミン・ミネラルを摂りましょう…、というのが今回のテーマですが、答えは一択ですよね(笑)
その理由も含めて真常識をおさらいしておきましょうね。

栄養保険はかけておいたほうがいい、健康寿命が延伸する」このファクトは明らかで、欧米先進国では(医療経済学的にメリットが大きいので)、栄養保険の担い手であるベースサプリメントの摂取を推進しています。そのベースサプリメントの代表が、このマルチビタミン・ミネラルです(他にはオメガ3も欧米では推奨していますが、私たちは食物繊維(ファイバー)もMUSTだと考えています)…が。
・・・それはさておき

ベースサプリメントを選択する上で、いちばん大事なことは、日本人向け※1につくられているかどうか? 
ざっくりですが、食習慣(特に幼少期から思春期)が異なれば、摂るべきマルチビタミン・ミネラルも異なります。したがって米国の素晴らしいと評判のマルチビタミン・ミネラルをみなさんが摂っても、あまり意味がないか、場合によれば健康を損ねてしまうかもしれません。

※1 正確には日本人というよりも日本の食習慣に馴染んでいるかどうか?

岡本医師
岡本医師

質問があれば遠慮なく! 

ちなみに10月末頃にでも、また質問会を開催します。

外せない具体的なチェックポイント

準拠していないサプリはNGです…理由は言うまでもありませんね。

日本人の食事摂取基準:2025年版の厚労省「日本人の食事摂取基準」の原案です。
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001219684.pdf

日本人は幼少期から海藻を摂取する習慣があり、じゅうにぶんにヨウ素を摂取してきています(蓄積しています)。そのため多すぎると害になるヨウ素を摂るのはNGとなります。つまりヨウ素が含まれているマルチビタミン・ミネラルは日本人にはNGとなりますね。

Thyroid 2008; 18: 667-8

ビタミンAは不足すると困りますが、過剰に摂取すると害になります。そのため、ビタミンAを補うには、害のないβカロテンを摂取するほうが安全です(必要に応じてβカロテンは体内でビタミンAに変わります)。またβカロテンはビタミンAにはない効果(抗酸化作用)もありますので、あえてビタミンAを摂取する理由はありません。

鉄は強い酸化作用があり劇薬といっていいかもしれません(笑)。もちろん鉄分が欠乏すると貧血になるので、困るんですが、鉄分を補うのはかなり慎重でなければいけません。したがって鉄分を補うには過剰になっていないか、2-4週間ごとのチェックが必要になります。つまり鉄分を補うのは医療機関(医師)なんです。安易に自身で鉄分を補うのはとても危険な行為です…、ということを知らない人が多すぎるように思います。

Arch Intern Med 2011; 171: 1625-33

たまにリンが含まれるマルチビタミン・ミネラルを見かけますが、意味不明ですね(笑)。現代人、リンの摂取過剰が問題になっているのに、なぜ補う必要があるのでしょうか?

私たちがベースサプリメント(もちろんマルチビタミン・ミネラルを含みます)を勧めるのは、1つには老化のスピードを抑えるためなのです。具体的には、動脈硬化、慢性疾患、認知症、フレイル、骨粗鬆症…のリスクを有意に減らすためです。その上で、ビタミンKが特に高齢者(65歳以上)で不足がちであること(腸内環境の劣化も原因の1つかもしれませんが)を考えると、ビタミンKを補うことは理に適っています。

…以前は抗凝固薬の主流がワーファリンだったので、ビタミンKを控える(納豆の摂取も)傾向にあったのかもしれませんが、今の抗凝固薬の主流がNOAC剤に変わりましたので(NOACはビタミンKも納豆も大丈夫です)、むしろビタミンKをマルチビタミン・ミネラルに含むべきでしょうね。ただし稀にワーファリンを摂取している方もいらっしゃるので、(禁忌ではありませんが)少し注意が必要かもしれません。

Nutrients 2015; 7: 2663-86

当然のことながら、まさしく「日本人の食事摂取基準」を考慮した処方内容であることが基本になりますが、なかなかバランスいいマルチビタミン・ミネラルはありませんね…。このマルチビタミン・ミネラルは、もちろん必要な栄養素が欠けているのは論外ですが、先にも述べましたが、成分が多いほどいいというわけではありません。鉄分とかヨウ素とかリンが含まれているとNGですからね。

…ファイトケミカルは、マルチビタミン・ミネラルのMUST成分ではありませんが、少しは含まれているほうがいいですね。というのも、老化が原因となる代表的な眼の疾患に加齢黄斑変性がありまずが…欧米では成人の失明原因の第1位となっています…日本でも、早期の加齢黄斑変性は、50歳代の16%、60歳代の23%、70歳代では30%にみられ、高齢化や食生活の欧米化などに伴い増加の一途を辿っていますが、…この加齢黄斑変性症、ファイトケミカル(ルテインなど)とビタミンC、ビタミンE、亜鉛の摂取で予防ができる、また、重症化が防げるとのエビデンスがあるので、特にルテインは含まれているほうがいいですね。

このように、マルチビタミン・ミネラルは、選択のポイントがたくさんあって、意外に選択が難しいんです。
私たちは、もちろん「日本人の食事摂取基準」をベースにしながら、そしてできるだけ過不足がないようにと(特に過剰症には留意)、試行錯誤を重ねながら、定期的に処方を見直し、現在のバージョンに至ってます。…、そして、合わせて、できるだけリーズナブルな価格になるようにと、けっこう苦労していますよ…余談ながら(笑)。

今回のレクチャーのまとめ

WHAT
  • マルチビタミン・ミネラル
WHY
  • 処方内容によってはマイナス効果もある
HOW
  • しっかりと成分内容とバランスを考慮して選択すべき 

・・・ということになると思います。

つまりは、信用のできるところで買ったほうがいいということですよね。
それはどこ? 野暮な質問ですね (笑)

このレクチャーを機会にみなさんの理解が深まったなら、嬉しいです。みなさんの周りの人にも教えてあげてください。
ぜひ健康度を高め、老化を抑えていきましょう

岡本医師
岡本医師

質問があれば遠慮なく! 

ちなみに10月末頃にでも、また質問会を開催します。